木もれ陽ベンチ

神奈川県川崎市在住の70代後半男性。栃木県那須町の高齢者住宅「ゆいま~る那須」を契約。90代後半の母の介護があり完全移住ではありません。現在は別荘気分で使用しています。

【第74回】ほどほどで良し

 以前(第71回目です)述べたように、わが家の外壁塗装工事が始まりました。25年前にも外壁塗装工事をしたのですが、いろいろ環境が変わりました。一番変わったのは敷地の西側にあった道路がなくなったことです。そのために作業者の出入りが不便になりました。庭の木も育ったため敷地内が狭くなり、足場を組むのがやっとで、余裕がまるでありません。また、現在は使用していない古い物干し台をどかそうとしたら、台座から支柱が折れてしまったなんてことも起きました。長い間に錆付いてしまっていたようです。

 作業者のトイレ事情も変わりました。昔は、「ちょっとトイレを借ります」と言って、作業者の方がわが家のトイレを使ったものです。今は公園やコンビニに行って用を足しています。会社として、無闇に他家の室内へ入ることを禁じているようです。公園が整備されたことや、コンビニの店舗が増えたというのも理由かも知れません。

 

 塗装を依頼するに当たり、案外迷ったのが外壁の色選びです。建物は色によって印象が変わります。築45年の古屋です。今更色なんて何でも構わないではないかと言えばそれまでですが、やはり少しは気に入ったものにしたかったのです。

 ところがこの「気に入る」というのが中々難しいのです。見本で色を見るのと、実際に建物へ塗付した時では感じが違うそうです。あれこれ迷った末、業者に何点かカラーシミュレーションしてもらい、その中から比較するという形で決めました。「その色よりは、こっちの色の方がいいのでは?」といった程度の判断基準です。そう、ほどほどのところで良しとしたのです。

 

          どんな色に仕上がりますか

 

 普段は97歳の母親との単調な毎日ですが、工事中の今は何かと気忙しい日々が続いています。ある時などは、作業者の方が車のキーを紛失してしまい、塗装どころではない一幕もありました。そんな中、私のパソコンメールに異変が起きてしまいました。前日までなんでもなかったのですが、朝にメールを立ち上げたところ、画面が今までと違っているのです。よく見ると、過去のデータを保存していたフォルダがありません。さらにアドレス帳を開くと全てのアドレスが消えているのでした。

 一体なぜこんなことが起きたのか皆目分りません。試しに送受信してみると、その機能は大丈夫のようでした。しかしフォルダやアドレスがないのは不便です。メールソフトの制作会社であるマイクロソフトに問い合わせしようとしましたが、トラブル処理はオンライン対応ということで埒が明きません。早口の音声で一方的にアクセス番号が流れるだけです。問い合わせしてみようという気が失せてしまいました。

 

 そこで思いついたのが、パソコンのシステム復元です。前日まで何でもなかったのだから、システムを数日前に戻せばいい筈です。過去のパソコントラブルもその方法で解決したことがありました。昔やった手順を思い出しながら、やっと復元処置画面のところまで辿り着きました。そしてシステム復元ボタンをタッチすると、「しばらくお待ちください」というメッセージが流れました。

 やれやれこれで一段落と胸を撫で下ろしました。ところがこのメッセージがいっこうに終わらないのです。「しばらくお待ちください」の文字だけが続きます。30分、40分経っても同じ状態です。さては操作を間違ってしまったのか!メールだけでなくパソコンそのものも駄目にしてしまったか。

 修理に出すとなると時間がかかります。その間どう対処したらいいのか、いろいろ不便なことが生じるに違いない。こんなことなら、あのままそっとしとけば良かったのにと、あれやこれやの思いが巡りました。

 

 ふと気づくと、パソコンが再起動していました。ようやくシステムの復元作業が終わったようです。それにしてもずいぶん時間がかかったものです。さてメールは?と見ると、依然としてフォルダがありません。アドレス帳も消えたままです。パソコン内部のシステム復元作業で解決出来る問題ではなかったのです。さあ、どうすればいいのか…‥。

  しかしもうこれ以上深入りするのは恐くなりました。幸いメールの送受信は出来るのです。最低限必要なことは確保出来ているのです。もうこれでいいではないか。

 物であるパソコンに対し、「深入りしない」などという表現は可笑しいかも知れません。しかしそう感じるほど、今やパソコンは身近な、なくてはならないものになっているのです。それだけにヘタにいじって、これ以上関係をわるくしたくないのです。必要なことが出来ていれば、それで満足するのが無難と言うものです。

 フォルダやアドレス帳は改めて作ればいいではないか。何か問題が起きたら、その時に考えればいい。そう思ったら気が楽になりました。そうです、これも亦「ほどほどで良し」とするのです。