木もれ陽ベンチ

神奈川県川崎市在住の70代後半男性。栃木県那須町の高齢者住宅「ゆいま~る那須」を契約。90代後半の母の介護があり完全移住ではありません。現在は別荘気分で使用しています。

【第69回】白河の街を散策

 5月1日月曜日。この日はゆいま~る那須へ行く日でした。5日間ほどの滞在です。その1日の明け方4時頃でした。階下で寝ている母親から呼び鈴がなりました。(1階で寝ている母が急な用事があった時、2階で寝ている私共に伝わるよう、母の枕元と2階の間には無線式ブザー装置が置いてあるのです) 

 叩き起こされた私が行くと、母はムカムカして胸が苦しいと言うのです。しばらく様子を見ていましたが、余り辛そうなので在宅医療を頼んでいるHクリニックに電話をしました。母は月に2回の割合で、定期的にHクリニックに診てもらっています。在宅医療の良いところは、緊急の場合に夜中でも連絡が出来ることです。実は、母のこうした症状は今回が初めてではありません。4カ月ほど前も同じようなことがあり、夜中に来診してもらったことがあったのです。

 今回も似たような症状でした。そこで前回に処方した薬が残っていましたので、その薬を飲んでしばらく様子を見ることにしました。午前7時頃にトイレに行き、だんだん胸のムカムカも減少してきた様子です。もしこのまま苦しさが続く様でしたら、那須には行けないかと心配しましたが、この調子なら大丈夫だと判断して、私は予定通り那須に行くことが出来ました。

 

 今回のゆいま~る那須行きで、ぜひ実行したいと思ったのは、白河市の街を散策することでした。実は、私は5歳まで白河駅近くに住んでいたのです。しかし自分には当時の記憶は全くありません。父母の実家が白河市ということもあり、小学校低学年の夏休み期間には、その実家でひと夏を過ごしていたという思い出はあります。父母の実家も今では世代が変わり、交流は少なくなっていますが、言ってみれば自分の故郷のような所なのです。

 ゆいま~る那須には、外出や買い物、病院行などの交通手段として、毎日定期的に運行する車が用意されています。それを利用して白河の街に行ってきました。白河駅に午前11時頃に着き、午後3時頃に帰りの車が来るまでの4時間の散策です。

 

 駅のすぐ傍にある白河市立図書館はぜひ寄ってみたいところでした。以前新聞で知ったのですが、蔵書数や設備の点で高く評価されている図書館です。ともかく広さに驚きました。入館すると受付の方が積極的に挨拶の声をかけてくれ、とても感じの良い雰囲気でした。

 白河の街なかは城下町だったということもあり、古い歴史を感じさせるものがありました。レトロな建物の中にも大人の遊興場や蔵、教会や寺があり、中々味わいのある街でした。市役所の建物も立派なものでした。ちょっと奥に入ると川が流れ、風情ある家並みと路が見えました。街を見守るかのような小峰城の三重櫓は見事でした。5月の連休中ということもあり、店が閉まっているのが多くて、その点が少し残念でした。

 

     ハリストス正教会            新蔵通り

 

    風情ある新橋辺り            小峰城の三重櫓

 

 ゆいま~る那須行きで、ぜひにと思っていたもうひとつは、作家久田恵さんにサインをもらうことでした。どこかゆいま~る那須に似た舞台背景の小説「ここが終の住処かもね」の本に、作者である久田恵さんのサインが欲しかったのです。

 運よく夕食の食堂で久田さんに会うことが出来ました。早速本とペンを持って、サインをお願いしました。すると、「この場では気持ちが落着かないので、持ち帰って改めて書きます」と言われました。そのような丁寧な応対に私は恐縮しました。翌日、久田さんはわざわざ私の居室まで来て下さり、サイン本を手渡してくれました。今では私の愛蔵本の1冊となっています。

        サイン本となりました!

 

 さて母親の具合ですが、ゆいま~る那須に滞在中も電話で何度か確かめました。私が不在中は弟が見ています。私が出発した後からは、苦しむようなことは無かったようです。

 那須から帰った後、それとなく様子を見てみると、夕食後に気持ち悪くなることが多いのに気づきました。そして、ひとつ思い当たることがありました。飲酒です。母はビールが好きで、夕飯時にはビールを楽しんでいました。母と私が350mlの缶ビールを1缶ずつ開けます。

 世間で騒がれている通り、このところ物価の値上がりが激しいです。そこで先月からビールを発泡酒に変えました。思い当たるというのは、この発泡酒に変えた頃から、夕食後の気持ち悪さが多くなったようなのです。そこで母にはまたビールを飲むようにしました。量も今までは200ml位飲んでいましたが、それよりも少なめにしてみました。すると気持ち悪さを訴えることが少なくなってきたのです。

 素人判断で、果たして発泡酒が原因かどうかは定かではありません。しかしもうすぐ97歳という年齢には、こうした微妙な違いが、案外左右するのかも知れません。素人なりにこうした小さな気づきも侮ることのないよう、心がけたいと思っています。