木もれ陽ベンチ

神奈川県川崎市在住の70代後半男性。栃木県那須町の高齢者住宅「ゆいま~る那須」を契約。90代後半の母の介護があり完全移住ではありません。現在は別荘気分で使用しています。

【第15回】 今年の干支 ネズミへのお願い

    今年はネズミ年ですね。童話や昔話などでは、ネズミは愛らしい動物として描かれていることが多いようです。小柄で愛嬌があり、ちょっとイタズラ好きの子沢山というイメージでしょうか。

    本来なら、年頭のお目出たい時に、ネズミに関する楽しいエピソードのひとつも添えるべきでしようが、そうでないのが残念であります。実は去年の今頃、わが家はネズミに悩まされていたのです。

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■購入したばかりのガスコンロが点かない?!

    事の始まりはガスコンロでした。まだ購入したばかりなのに、2口あるコンロの内、片方が点火しなくなってしまったのです。すぐにメーカーに連絡しました。

    検品した途端、修理担当者は、「これは故障ではなく、点火用の内部配線をネズミが齧ったのが原因です」と言いました。そう言われて見てみると成程、配線が2、3箇所切れていました。

 

    実はネズミと言われて、思い当たることがあったのです。少し前からジャガイモや石鹸が齧られていたり、朝方にネズミの姿を見たと家人が言っていたのです。その時の対策としては薬局で殺鼠剤(毒エサ)を求めました。何カ所かに撒いてみましたが、相変わらずネズミは出没していたのです。屋内配線も齧ってそこにネズミの糞が溜まり、漏電で火事になることもあると言われました。それを聞いて急に心配になってきました。

 

    私は区役所の衛生課に行きました。そこではネズミ被害の相談をしてくれるのです。対策としてネズミ捕獲器を貸してくれました。また、「ごきぶりホイホイ」をもっと大型にした、粘着シート(縦21cm横33cm)も見本で4枚ほど貰いました。かなり強力なネバネバした粘着度があります。4枚では足らないので薬局で数枚買い足しました。

    ネズミ捕獲器の餌にはジャガイモや石鹸を入れてみました。しかし全然掛りません。ネズミ粘着シートでは1匹捕まえました。体長15cm(しっぽは含みません)位のクマネズミです。しかし他にも居るらしく被害は続きました。床に敷いている合成樹脂の敷物を齧ったり、紙袋を破り、米粒くらいの糞を部屋に落して行くのです。

 

■就寝中の母が心配

    ネズミで一番心配なのは、夜中に寝ている母親に危害を加えないかということです。母親の寝室はネズミが出る1階にあるのです。次に危惧するのは病原菌と、屋内配線を齧って火事などを起こさないかです。

 

    ネズミ対策は素人では無理だと思い、専門業者に頼みました。なにしろ500円硬貨大の隙間があれば、ネズミは自由に出入りするというのです。まず出没口の閉鎖です。排水溝や鴨居の中、天井裏なども点検してくれました。1カ所、洗面所の排水箇所に出没可能性のある隙間があり、硬質のアルミ板でしっかり塞いでくれました。

    ネズミ粘着シートも夜に30枚ほど床に敷くようにしました。しかし相変わらずネズミは出ました。仏壇にあるロウソクも齧りました。ネズミは大変用心深く、粘着シートにも中々掛からず、長期戦になると言われました。仲間が1匹捕まっただけに、警戒心がより強くなったのかも知れません。

 

■食器棚にもネズミが…

    そして2週間ほどが経った朝のことでした。食器棚の上にティッシュペーパーがぶら下がっていました。一体なんだろうと見てみたら、これもネズミの仕業でした。食器棚の上には普段使わない台所用品が置いてあります。そのすき間にティッシュペーパーを挟み、巣作りをしようとしていたのです。周りには食べ物のカスや糞が散らばっていました。

    ティッシュペーパーがぶら下がっていた食器棚の近くには布巾が干してあるのです。その下には電気炊飯器があります。こうしたものをネズミが触ったり舐めたりしているかも知れません。思わずゾッとしました。どんな菌を持っているか知れないのです。すぐに布巾や炊飯器の蓋を熱湯消毒しました。

 

    そうした目で見てみると、台所用品の多くがむき出しになっていることに改めて気づきました。まな板、おたま、しゃもじ、フライパン、ざる、包丁、鍋等々‥‥。これらはちゃんと戸棚の中に格納しておくべきです。しかしわが家の戸棚はすでに満杯なのです。このままでは入れません。

    実は、以前から不用なものは処分しようと、母親に言っていたのです。しかし大正生まれの母は、何でも取っておく性分で、物を捨てることが出来ません。強く言うといつもケンカになってしまうのでした。従って戸棚の中は使っていないもので溢れているのです。

    しかし今度は事情が違います。ネズミ対策という大義名分があるのです。母親も納得しました。使ってないものを捨てて、むき出しになっていた台所用品を戸棚に格納することができました。

 

■難しいネズミの駆除

    そうこうしている内に、区役所の衛生課で借りたネズミ捕獲器の使用期限が来てしまいました。もう少し期間延長したいと申し出ました。そして中々ネズミが捕まらないので、どうしたら駆除できるかの指導を乞いました。

しかしさしたる妙案もなさそうでした。こちらが言ったことに対して、「ああ、そうですか。はい‥‥」などと相槌を打つばかりです。聞かれたことに対し、通り一遍の返事をするだけで、何の進展もありません。

    区役所の衛生課で配布したパンフレットには、「ねずみが住みにくい環境づくりに関するご相談を受け付けております」と記載してあるのですが、単なる謳い文句に過ぎません。それだけネズミ駆除は難しいということなのでしょうか。

 

    ちょうど年末年始の時期に入ったので、例年通りゆいま~る那須に5日間ほど滞在しました。しかしネズミのことが気になって、少しも寛ぐことが出来ませんでした。そんなことをスタッフの方に話したところ、ネズミが嫌がるという超音波を発する機器のことを教えてもらいました。

    ゆいま~る那須から帰って、さっそく購入してみました。仕掛けて2、3日はネズミが出ませんでした。しかしその後は出没してきました。超音波にも慣れてしまうようです。

    一体いつネズミから解放されるのか、不安な夜が続きました。毎夜就寝前に、床に30枚ほどの粘着シートを敷くのにもうんざりしてきました。

 

■わが家の切なる願い

    しかし1月も末頃、ようやく粘着シートにもう1匹が掛かったのです。前に1匹捕獲したので計2匹です。どうやらつがいの夫婦もののようでした。

    あれから1年近くが経ちました。それ以来、ネズミの被害はありません。ネズミは縄張り意識が強く、他グループと共存することは殆どないそうです。棲みついていたのはあのつがいだけだったのでしょう。そしてまだ子ネズミがいなかったのだと思います。早くに1匹目を捕まえたのが良かったのかも知れません。いまでは母親も安心して就寝することが出来ています。

 

『ネズミよ。今年がお前さんの年だからといって、わが家に挨拶など来てくれなくても結構です。君とはもう充分に付き合いました。そして相性が合わないことが嫌と言うほど分かりました。お顔も見たくありません。わが家には構わず、どうぞ他所へ回って下さい』

 

 これが今年の干支ネズミへのわが家の切なるお願いであります。どうか来ないで下さい。頼みマウス。