木もれ陽ベンチ

神奈川県川崎市在住の70代後半男性。栃木県那須町の高齢者住宅「ゆいま~る那須」を契約。90代後半の母の介護があり完全移住ではありません。現在は別荘気分で使用しています。

【第6回】 ゆいま~る那須で過ごした夏のひと時

   8月10日~15日の6日間、「ゆいま~る那須」*に行ってきました。5月の連休にも滞在したのですが、その時は若葉の季節で、窓から見える雑木林の眺めは柔らかな感じでした。この季節になると木々の緑は濃く、枝葉は窓に迫る勢いです。自然の持つ力強さを感じました。

*ゆいま~る那須:栃木県那須町にあるサービス付き高齢者向け住宅。天然無垢の八構杉を基調とした平屋の戸建て風住宅で居住者が自由を保ちながら暮らす

 

 ■自由に気兼ねなく、思いのままに

 着いた初日は土曜日で、「ゆいま~る那須」の食堂では夕食が居酒屋風となっていました(ゆいま~る居酒屋と称します)。総菜やつまみが何種類か用意され、自分好みのものを選び、持ち込んだお酒を楽しみます。

 近隣の人も交じり20名ほどが集まりました。私は、ゆいま~る生みの親の一人でもある近山恵子さんと隣席になり、久しぶりにお話が出来ました。気さくで話しやすく、話題のとても豊富な方です。

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ゆいま~る食堂。土曜の「居酒屋」風のようす

 夕食が済んで自分の居室に戻ると、食休みを兼ねてDVD観賞をします。通信網とは繋がらない古いパソコンで見ます。メールや検索は出来ませんが、文章作成やDVDを見たりするにはまだ十分の機能があります。

 昔テレビで録画した映画やドラマ、芝居などを見ます。何度も見たものなので内容はよく分かっています。ベッドで横になり、目をつむり、音声だけ聞いていることもあります。そうすることで頭の中で映像が浮かびます。と同時に、初めてそれらを見た時の頃を思い出したりします。古いDVDを見る楽しさには、そうした懐かしさもあるようです。その内いつのまにか寝てしまうこともあります。

 目が覚めてから本を読んだり、ラジオでニュースを聞いたり、寝る前の歯磨きなどしている内に、夜遅くになることもあります。「ゆいま~る那須」の居室は戸建てのようになっていて、完全に独立しています。どんなに夜遅くなっても隣に迷惑がかかるということはありません。自由に気兼ねなく、自分の思いのままに過ごせます。

 

 翌朝は、森の中にある「フォレスト カフェ」というお店で朝食をとりました。車で10分位の処にあり、ゆいま~るの居住者やその家族など8人で行きました。森に囲まれた広い敷地の中にハンモックやテントも設置されており、食後は自由に遊べるのです。

 私は生れて初めてハンモックに乗りました。皆は快適だと言うけれど、慣れない私は、落っこちはしないかとビクビクしていました。それにひきかえ9歳の女の子などは、ハンモックをブランコのように、いとも簡単に操っているのでした。

 実は昨夜のゆいま~る居酒屋に、「フォレスト カフェ」の店の人も来ていたのです。自家製の梅酒や梅干しを振る舞ってくれました。こうした交流を通して「ゆいま~る那須」は近隣の人たちと親しくなっていくのです。

 

 ■2つの嬉しいこと

 今回は嬉しいことが2つありました。ひとつは居室の寝具を替えてくれたことです。私はまだ「ゆいま~る那須」の完全居住者ではありません。年に3回ほど通う程度なのです。従って、ベッドや暖房器などは貸してもらっています。

 私は以前から腰の状態が良くありません。そして那須に滞在すると何故か腰痛がぶり返すのでした。どうもベッドのマットレスの硬さが私の体に合わないようだと気づきました。そこで、次回からはベッドではなく布団にしてほしいと頼んでいたのです。

 今回来てみたら、畳敷きベッドの上に布団を敷いてくれていました。ひと晩就寝したところ、腰痛が起きませんでした。これで安心して眠ることが出来ました。

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安心して眠れた布団。窓越しの緑がまぶしい

 もうひとつの嬉しいことは、居室に冷蔵庫とオーブントースターを用意してくれたことです。短い滞在期間であっても、これらがあるとやはり便利です。

 ゆいま~る那須のすぐ隣に「森林ノ牧場」があります。そこではジャージー牛が飼われています。ここで販売する牛乳やソフトクリームは大変美味しく、県外からも車で買いに来ると言われています。

 普段、牛乳などは飲まない私です。一体どれほど美味なのか。今回、冷蔵庫を用意してくれたので、私はその牛乳を求めて冷やしておきました。

 朝風呂のあとの喉が渇いた時に飲んでみましたが、その濃厚な味わいに驚きました。市販されているものとはまるで違います。ちょっとオーバーな表現ですが、「飲むソフトクリーム」といった感じです。色も淡いクリーム色です。やみつきになり、毎日買いに行きました。

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飲むソフトクリーム? やみつきになる味

 車で15分位のところに、廃校になった小学校校舎を利用して運営している、「那須まちづくり広場」があります。生涯活躍のまち、新しい学びとコミュニティの拠点として再生するという目的で開設されたのです。ちなみにそこを運営する会社の代表取締役が近山恵子さんです。

ゆいま~る那須ではそこから仕入れたパンや野菜、お菓子なども販売しています。私は焼きおにぎりを買って、さっそくオーブントースターで温めてみました。醤油の香りが匂い立つ美味しい朝食となりました。

 

■サ高住の良さを再認識

 ゆいま~る那須では、居住者の「安否確認」を毎朝10時に行います。その方法は、各自が10時までに玄関脇ポストに、10円玉位のマグネットを取り付けるのです。それが、「私は今日も元気に起床しました」という合図になるのです。スタッフの方が一軒一軒回って、マグネットが付けてあるのを確認したら、そのマグネットを元の定位置に戻しておいてくれます。

 私は2日目の朝に、その合図作業を忘れてしまいました。スタッフの方がインターホーンで呼び掛けて安否確認をしてくれました。その様にすることで、もし居住者に異常が起きていた場合、迅速に対応ができるのです。これがサ高住の良さなのだと再認識しました。

 

 ゆいま~る那須には、交通手段として「ゆいま~る号」という送迎車が用意されています。買い物や通院、駅までの行き来などに利用しています。今回、私はそれを利用して白河市立図書館に行ってみようと思いました。いつか新聞でその図書館がかなり設備の整った、一見の価値があることを紹介していたからです。

 滞在して少し落ち着いた火曜日、私は「ゆいま~る号」に乗りました。同乗者の方に図書館に行くことを話したところ、今日は休館ではないかと言ってくれた人がいました。私はネットで月曜日が休みということは調べておいたのです。

 が、その人が言うには、たまたま日曜日が祝日(山の日)だった為、月曜日が振替休日となった。その場合に図書館は開館する。そして代わりに今日の火曜日が休館になっているのではないかと言うのです。

 さてどうしたものかと迷っていたら、その方はケータイで図書館に電話をして、やはり休みであることを教えてくれました。私は急きょ予定を変えて、スーパーで買い物をすることにしました。

 こうした何気ない会話ややり取りが、さも当たり前のようにあることが嬉しく思いました。もしその方が教えてくれなかったなら、私は閉まった図書館の玄関前に佇み、呆然としていたことでしょう。

 このように色々皆さんに助けられながら、ゆいま~る那須で6日間の楽しい夏のひと時を過ごしてきました。 

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ゆいま~る那須にある図書室。ここでも本が読めます