木もれ陽ベンチ

神奈川県川崎市在住の70代後半男性。栃木県那須町の高齢者住宅「ゆいま~る那須」を契約。90代後半の母の介護があり完全移住ではありません。現在は別荘気分で使用しています。

【第52回】 楽しみな大晦日

 年の瀬です。74歳で年金暮らし、ほとんど家の中にいる私には、年末だからと言って特にこれをしなければならないものがある訳ではありません。毎月の末とそんなに変わりません。しかし師走という文字を見ると、何か気忙しい思いがしてくるのは何故でしょう。

 夕暮れ、そろそろ夕食の支度にかかろうと、ポストの郵便物や夕刊を取りに表に出ると、北風がピューと肌を刺す。道ゆく人も少し急ぎ足で歩いている。枯葉がカラカラと転がって行く。そんな光景に年末の慌ただしさを感じるのでしょうか。

 特にこれといったものはないと言いながら、やはり年末です。年賀状を書いたり、家の掃除も普段は手をつけない箇所をきれいにしたくなります。庭の落ち葉も片付けねばなりません。ちょっと拾う積りでいても、少し手をつけると、いろいろ気になるものが出てきます。雑草や伸びすぎた枝、根っこから新しい茎が出て、これがいつの間にか大きくなり、ちょっとやそっとでは引き抜けないくらいに育っている。ほんの猫の額ほどの庭でもそんな有様です。いつか処分しようと思って、物置に放り投げておいたガラクタも溜まりにたまっている‥‥。 という具合に、1年のツケが押し寄せてくる感じです。

 

 そんな中でも、ぜひ実行したいことがありました。コロナ禍のために暫く出来なかった忘年会です。幸いこのところ感染者が減っています。飲食店でのアルコールもOKとなりました。この機会にと声をかけたところ、8名ほど集まることになりました。2年振りの忘年会です。皆サラリーマン時代のロートル仲間たちです。

 新聞でアンケート調査を見ると、いくらコロナ感染者が減ったといっても、忘年会や新年会が昨冬と比較して「増えそう」と答えた人は22.1%で、「変わらない」は76.8%だそうです。確かにお店もそんなに混んでいませんでした。というより、やはり人数制限をしている為か盛況という感じがなかったです。

 利用した店はチェーン店の居酒屋です。コロナ禍前だとこの時期は大変な賑わいでした。今はワンテーブルには8名まで、そしてテーブルとテーブルの間隔を広く取っていました。さらに従業員もずいぶん少なかったです。店の休業や時間制限で働く人が減ったのでしょうか。例えば以前は受付の係りとテーブルに案内する係りの人が別々にいました。今回は受付の係りが案内役も兼ねていました。そうした中で、お客の体温を測ったりもする訳ですから、従業員の負担も多いだろうと感じました。

 

 皆の話題はやはり健康問題。70代や80代になると何らかの身体的不安を抱えるものです。そう言えば8名の予定だったのが、急に2名が体調悪くなり欠席となったのでも分ります。そしてやはり会社時代の話が多く出ました。人生の盛りの頃を共に過ごしてきたのです。かっての同僚たちのその後についても知りたくなります。退職して15年、中には写真を見せられても、一体誰だか分らなくなった人もいます。名前を教えてもらい、「えッこれが○○さん!」と驚くばかりです。

 こうして集まって、取り止めのないことを話し合っていると、やはり人とのつながりは大事だと感じます。1年に2,3回は集まりたいと改めて思いました。

 

 話は変わりますが、数日前にちょっと嬉しいことがありました。抽選会で当たりが出たのです。場所は金融機関(信用組合)でのことです。現在は預金などをしても利率が少なくて魅力がありません。かと言って、全部現金で持っている訳にもいきません。やはりどこかに預けた方が安全です。そして出来るだけ利率の良いところに預けたいのが人情というものです。たまたま広報紙で知ったその信用組合は、利率が他よりは高いところでした。

 私は4級の身障者手帳保有者です。マル優の特典が使えます。預金は利率が少ない上に、利息に対して国税地方税を合わせて20%強が差し引かれます。マル優はこれが免除されます。それを利用しているのですが、このたび定期預金の満期がきたのです。特に使用予定のない私は、再びそれを定期預金することにしました。すると抽選会の券がもらえたのです。

 私は本当にくじ運のない男なのです。今までに当たったためしがありません。どうせまたテイシュペーパーくらいだろうと、お義理でくじ引きのハンドルを回しました。すると、係りの人が「アラ!」と驚いたような声を出しました。出てきた玉を見ると金色でした。1等ということです。しかも抽選会が始まったのが、ちょうどその日だったのです。「こんなに早く出ました!」ということで、係りの人が驚いた訳です。私も驚きました。1万円分のJCBギフトカードがもらえたのです。

 

 さぁ~何を買おうか。ひと足先にもらったお年玉のようです。お年玉なんて子供の頃に貰ったきりです。なんか嬉しくなりました。普段買わないものを買ってみよう。そうだ宝くじがいい! 籤運のない自分が1等を取ったのです。なにかいいことがありそうです。このツキが逃げない内に手を打とう。

 今まで宝くじなど目もくれませんでした。自分には縁のないものと思っていたのです。でも欲が出ました。ちょうど年末ジャンボが売り出している時期ではありませんか。しかし臆病な私は思いっきりがありません。当たった1割分だけ買ってみることにしました。そういう訳で3枚買いました。さあ、抽選日の大晦日が楽しみです。