木もれ陽ベンチ

神奈川県川崎市在住の70代後半男性。栃木県那須町の高齢者住宅「ゆいま~る那須」を契約。90代後半の母の介護があり完全移住ではありません。現在は別荘気分で使用しています。

【第12回】 42回目の川崎市民祭りを楽しむ

川崎市の大きなイベント
    今月の2日~4日は川崎市民祭りがありました。この行事は毎年文化の日を挟んで、3日間に渡って行われます。競輪場や富士通スタジアム(元川崎球場)、公園などが開催広場となります。どこもJR川崎駅から徒歩12分ほどで行けます。
    今年で42回目になります。開催当初はとても豪華な催しが行われました。有名な歌手を招いたり、最終日の夜には何十発もの花火が打ち上げられました。市としてもかなりの予算を組んだものと思われます。
    その頃の私は30歳になったばかりでした。父が建てた平屋の家を解体し、2階建の家を新築したのもその頃です。家の中は木の香りがして、初めての行事となった市民祭りと共に、何か新しいことが始まるような新鮮な思いを抱いたものでした。
 30歳は人生における節目のひとつです。これからだ!という気概がありました。今から思うとあの若さが懐かしいです。高度経済成長期は終わっていましたが、まだ世相には明るさがありました。
 やがて低成長期になると、歌手を呼んだり花火を打ち上げることは無くなりました。それでも毎回50万人近い来場者があるということで、川崎市としても、年間行事の大きなイベントのひとつとなっているようです。

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お祭りの入り口付近

 催しの多くは各地の物産品販売です。地域ごとに屋台が並びます。あたりに食べ物を焼く匂いと煙が広がります。食べ歩きなどという行為は普段は出来ませんが、こうした場所では、物を口にしながら歩くという、子供の頃に戻ったような開放感を味わえます。
 他には植木市、呈茶(茶道)、健康相談、変形自転車乗り、丸太切り体験など色々です。イベントで大きなものは大通りを行進するパレードです。その他ダンス、踊り、太鼓、歌、空手演舞など沢山あります。演ずる人たちにとっては日頃の練習成果を発表する場として、正に晴れの舞台となる訳です。そうそう、今年はお化け屋敷も出現しました。例のおどろおどろしい口上も懐かしかったです。

 

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昔懐かしのお化け屋敷

■3つのお目当てとは…

    私の目当ては物産品の買い物です。言わば花より団子の口です。先ずは新米を買いました。この季節に一番旨いのは新米です。日本人に生まれて良かったと、つくづく思います。副食はお新香に味噌汁、あと何か一品あれば充分です。新米には余計なおかずはいりません。お米そのものを味わいたいです。
 今は「コシヒカリ」系のモチモチ感が人気のようですが、私は、「ササニシキ」系のサックとしたあっさり感が好きです。
 2,000円分ほど買いましたら、くじ引きで当たりが出たので、3合ほどおまけをしてくれました。家で計ったら4㎏強ありました。1㎏は6.6合ということなので、2升7合位になるでしょうか、かなりお買い得だと思います。自転車の前カゴに乗せて運びましたが、ハンドルが重かったです。お米は袋の中で動いてしまうので重心が取りにくいです。
 終戦後に米や野菜の買出しに行ったのを聞いたことがあります。子供や女性も手伝ったそうです。リユックに背負ったのでしょうが、相当重かったのではないかと想像します。私の場合は、新米を食べるという楽しみのための重さ。買出しの方は、生きるために運ぶ労働の重さ。重さの持つ意味が違いますね。有り難く味わって食べねばと思います。
 今ひとつはつきたてのお餅を買うことです。大根おろしをからめたのと餡ころ餅が好物です。「別腹」という言葉がありますが、正にそのとおりです。いつもは小食の母も、この時ばかりは「別腹」になるようです。つきたてのとろける様な食感がなんとも堪りません。

 さらにもうひとつは、祭り見物の途中で一杯ひっかけることです。私は福島県白河市の生まれです。白河市のブースでは地酒を売っています。「陣屋」という銘柄で、一升びんが氷で冷やされており、紙コップに注いでくれます。野外ステージの歌を聞きながら味わいました。クセの無い辛口で、もう一杯といきたいのを、昼間のことなのでグッと我慢しました。そうそう、つまみには山形県の玉こんにゃくを食しました。醤油の味がしみこんで、独特な歯ごたえがあります。辛子を付けてピリッとする刺激も捨てがたいです。これも毎年の定番です。
 白河と言えば、「ゆいま~る那須」への最寄り駅は新幹線の新白河駅です。私は「ゆいま~る那須」へ行く度に、寝酒と称して駅の売店で日本酒を買うことにしています。福島県は日本酒の名産地として全国的に有名です。駅の売店でそうした銘酒が手軽に購入できるのは、呑み助け(あまり強くはありません)の私には大変有り難いことです。

 

ベリーダンスのファンに!
 食べ物以外で楽しみにしているのは、ベリーダンスを見物することです。一昨年に初めてその踊りを見て、いっぺんにファンになりました。
 何と言っても、女性が持つ独特の美しさが魅力です。長い髪、胸や腰のセクシーな動き。中にはおへそまで見せる衣装があります。かなりご高齢の女性も踊っておられます。フラダンスよりもはるかに激しいベリーダンスの動きは、どれほどの体力を要することか。
 人間には変身願望というものがあります。美しい衣装に身を飾り、華麗に踊ることで、日常にはないもう一人の自分を演じているのでしょうか。皆さんお顔が生き生きとしています。
 ♪同じ阿保なら踊らにゃ損そ~ん!ですね。あ、これは失言でした。あんまり楽しそうなので、つい口が滑ってしまいました。

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祭りを彩るベリーダンス

 ダンスに限らず、例えば民謡、カラオケ、ウクレレ演奏などを趣味として、日頃練習に励んでいる方は沢山いることでしょう。そうした日頃の成果を発表する場として、こうした市民祭りがあり、皆と交流し楽しめることは大事なことだと思います。
 市民祭りが終わったら、いっきに寒くなりました。もう今年も残りひと月ちょっとです。あんなに賑やかだった広場に、今では落ち葉が舞い散っています。祭りのあとの淋しさとは、こんな風景を言うのでしょうか。