木もれ陽ベンチ

神奈川県川崎市在住の70代後半男性。栃木県那須町の高齢者住宅「ゆいま~る那須」を契約。90代後半の母の介護があり完全移住ではありません。現在は別荘気分で使用しています。

【第59回】久しぶりの芝居見物

 ようやく下降線をたどるかにみえた新型コロナウイルス感染ですが、7月になってから急激に増加しました。1日の感染者が東京都では3万5千人超え、私が住む神奈川県では1万5千人超えです。昨年のこの時期と比較すると、10倍ほどの感染者数です。数字だけを比較すると恐ろしさを覚えます(さらに驚いたことには、7月28日には東京都で4万人超えという発表がありました) 。

 そうした中でも緊急事態宣言が発令されることもなく、ちょっとした用事や買い物で街や駅中に出ると、人とぶつかるほどの混雑さです。ウイルスの性質や感染対策慣れということもあるのかも知れません。

 しかし用心に越したことはありません。私も3年ぶりに開催されようとした、昔の仲間たちとの飲み会も諦めざるを得ませんでした。3年ぶりということで、みなさんとても楽しみにしていたのに残念なことでした。このように行動の範囲が、まただんだんと狭くなるのではないかと心配です。

 

 実は、まさか感染者がこんなに急増するとは思っていなかった今月の2日、久しぶりに芝居を観に行くことが出来たのです。それから間もなく感染者が急増しました。あと1週間も後だったら観劇を諦めたかも知れないと思うと、何とも言えない気持ちです。

 この芝居は、題して「藤山寛美33回忌追善 喜劇特別公演」というものでした。私がこの公演を知ったのは、K信用金庫の会報誌を見たからです。厚生年金をこのK信用金庫口座から受取っている私は、会員の特典として旅行や観劇、落語招待、誕生日祝いなどのサービスを受けています。地域に根ざした信用金庫は、規模は小さいけれど、大手銀行には無いきめ細かいサービスがあります。今回も割引料金で観劇出来ました。

 

 5月の会報誌で、この芝居公演が7月にあることを知り、藤山寛美の大ファンである私はすぐに申し込みました。今年33回忌というのにも、改めて驚きました。私は残念ながら藤山寛美の芝居を生で観たことがないのです。藤山寛美が活躍していた頃は、会社の仕事が忙しくて気持ちに余裕がなく、芝居どころではないといった状態なのでした。

 そんなサラリーマン生活を送った私ですが、いよいよ定年間近になった時、会社が早期退職者を募集したのです。私は少し考えることがあってそれに応じました。その時に労働組合から慰労金が出ました。長い勤めを労い、旅行でもどうぞという意味合いのものです。私は旅行ではなく、何か記念になるものをと考えました。

 

 丁度その頃、「藤山寛美十八番箱」という松竹新喜劇のDVDが発売されていました。以前2,3度テレビで観た藤山寛美の芝居がとても面白かったので、これはいい記念になると思い購入しました。藤山寛美の芝居は思ったとおり面白くて人情味があり、見終わっても余韻が残る舞台作品でした。

 藤山寛美という芸人は、役になり切って様々な人間を演じます。本当に芝居が好きで、244カ月連続無休公演を行ったり、その日の演目を客席からのリクエストにして上演するなど、アイデアに優れていたとのことです。生の舞台を観なかったことが改めて悔やまれました。

 今回の「藤山寛美33回忌追善 喜劇特別公演」は、そうした藤山寛美の遺志を継ぐものとして企画されたのです。場所は新橋演舞場でした。ほぼ満席の状態で、さすが人気のほどが伺えました。

 

 それにしても新橋演舞場界隈の景観はとても洗練されていると思いました。道路は広く、立ち並ぶビルは立派な建物ばかりです。芝居を見終わっても、すぐに帰る気になれず、辺りを散策しました。歌舞伎座もすぐ近くにあります。

 そういえば株式会社コミュニティネットは、以前このすぐ近くに事務所があったのです。私がまだゆいま~る那須との入居契約をする前、いろいろ情報を知りたくて、説明会などに参加するため行ったことがあるのです。歌舞伎座に余りにも近い所にあったので、とても印象に残りました。

 あれから10年以上が経ちました。あの頃はテレビでゆいま~る那須のことが度々紹介されていました。そんな当時のことを思い出し、暫し歌舞伎座前の通りに立っておりました。